Microsoft Build 2022 参加レポート
2022年5月25, 26日に Microsoft Build が開催されました。個人的に印象に残ったセクションをいくつかピックアップしてみたいと思います。ちなみに去年の参加レポートはこちら。
視聴したセッション
アーカイブで確認したものもありますが、大体こんな感じです。
- Microsoft Build オープニング
- Imagine Cup 2022 世界選手権
- WinUI を使用してシンプルな Windows アプリを作成する
- 発信活動を継続しながら楽しく成長する方法
- Microsoft Teams 用のインタラクティブな会議アプリを作成する
- 私たちはこうして Microsoft Teams でプレゼンやってます
- Mixed Reality 開発技術と現場活用の最新動向 - Developing, Deploying MR Applications
- WebXR Tech Talk
- .NET Core と WASI の将来の可能性 (サーバー上の WebAssembly)
- .NET MAUI - 最新情報とロードマップ
- Windows でクロスプラットフォーム アプリを最大限に活用する
今年は日本向けのセッションが多くあり、結構盛り上がったのではないかと思います。学生(海外含む)は9000人ほど参加していましたね。技術的なセクションは他のブログでも取り上げられているので、私は Imagine Cup を中心にいくつか取り上げたいと思います。
Imagine Cup 2022 世界選手権
今年は Imagine Cup 20 周年記念ということで、景品も豪華でしたね。優勝者には10万ドル+CEOとのメンタリングで、準優勝者には2万ドルが贈呈されます!
出場チームはスリランカの "NANA SHILPA" , サウジアラビアの "V BIONIC", アメリカの "MELODIC" です。
NANA SHILPA
アプリを使用して、学習障害を持っているかを判定することができます。学習障害かどうかを判断するにはすごく時間がかかると言われていますが、このアプリを使用して数字や文字を書き、入力データを機械学習によって処理することにより早期発見ができるようになるとのことです。診断するにも400ドル程度かかるといわれていますが、このアプリは60ドルかつ自宅で利用することができます。
V BIONIC
手や指に麻痺を持つ人が早く回復できるように支援する、リハビリ用の義手を開発しました。自宅でリハビリすることができ、その運動データを医師に送ることで、利用者のデータを一括で管理することができるとのことです。遠隔治療だけでなく、機械学習によってより効果的なリハビリを行えるとのことで30%程度早く回復させることができるようです。
MELODIC
聴覚障害をもつ子供は言語療法によって改善することができるとのことで、携帯型の端末を使用してその治療を支援するデバイスを開発しました。子供が喜ぶようにデバイスは可愛い犬の絵が書かれており、このデバイスを見ながら口の動かし方や発音を学ぶことができます。トレーニング活動や結果は Power BI のダッシュボードから確認できるようです。
優勝チーム
優勝したチームは "V BIONIC" でした!おめでとうございます~
例えばインドでは手指に麻痺をもつ患者さんは120万人いるといわれていますが、リハビリ機器は 200 台程度しかありません。しかし、V BIONIC の義手を使えば自宅かつ低価格でリハビリを行うことができますし、医師もその様子を遠隔地から確認できますので、より多くの患者さんを救うことができますね。素晴らしい発想力と技術力です!
Imagine Cup 20周年ということで、MS Tech Camp #15 のイベントでも紹介しました。2020年準優勝したチーム Syrinx の竹内さん曰く、「どれだけ技術力があって素晴らしい製品ができたとしても、それが社会問題をどのように解決していくのか具体的な策がないと優勝は難しい」ということでしたので、いかに地域の問題に密着して取り組んでいるのかがわかりますね。私もいい勉強になりました。
WinUI を使用してシンプルな Windows アプリを作成する
このセクションでは WinUI 3 (XAML) を使用して Windows アプリを作成する方法についての紹介がなされました。WinUI 3 は Fluent Design を使用した UI ライブラリで、Windows App SDK に標準搭載されています。WInUI 3 を使用する場合は NuGet から導入する方法と WinAppSDK プロジェクトから作成する方法があります。WPF で使用する場合は Xaml Islands (toolkit) が必要です。ちなみに WinUI 3 は Windows 11 の UI コントロールで使用されているデザインですね。
個人的に WinUI 3 のデザインが好きなので、これから作るアプリ(現在、大学で作成しているアプリ含む)は WinUI 3 を使用したいという欲望がありますw
このセクションを見ていて気づいたのですが、XAML を記述する際によくお世話になっていた XAML Controls Gallery は WinUI 2 という名前に変わっていました。
この画像を見ると、WinAppSDK = WinUI 3 みたいに勘違いしそうですが、WinUI 3 は UI (XAML) ライブラリであって、WinAppSDK はアプリケーションフレームワークなので別物です。
Microsoft Teams用のインタラクティブな会議アプリを作成する
ちょまどさんとかずきさんによる、日本向けのセクションです。Teams 向けのアプリを作成するために必要なものや、実装方法、運用方法についての解説がなされました。yo teams
コマンドからプロジェクトを作成し、Azure AD との関連付け、React での実装、Teams での運用までの一連の流れを知ることができました。会議前、会議中、会議後のライフサイクルでそれぞれ異なった機能や UI も作れるので、柔軟に対応することができますね。
Teams のアプリって React で実装できるんですね~ テンプレートもあるので、TypeScript の書き方さえわかれば学生でも作れそうです。(ただし Azure クレジットは必要)
.NET MAUI - 最新情報とロードマップ
.NET MAUI はクロスプラットフォーム開発が可能なモバイル向けアプリケーションフレームワークです。もちろん Windows でも動かすことができますが、様々なプラットフォーム上で運用する場合におすすめです。以前から注目していたのですが、いよいよ正式リリースされるとのことで、VS 17.3 preview 1 に標準搭載されます。Xamarin の進化系として今後は C#er の間で広く利用されるのではないかと思います。ちなみに Uno Platform はこのまま独立するようですね。
Xamarin Forms に比べて 34.9 % パフォーマンスが改善されているようです。
今後のロードマップです。つい最近 .NET 6 が出たのにもう .NET 7 ですか...早いですねぇ。
さて...
Maddy Montaquila ネキ曰く "Get started today !!" とのことなので、このブログを見た人は全員今すぐやってください。
Microsoft Build 2022 Recap Party!!
MS Build 2022 の振り返りイベントが今年も開催されるようですので、こちらもチェックですね~
参考リンク
全て紹介していると大学のレポートくらい濃い内容になってしまうので、あとは様々な方のブログを参考にどうぞ。
【基調講演】 memo.tyoshida.me
【Azure 関連】 blog.azure.moe
【XR関連】 note.com
イベントのお知らせ
2022年6月19日(日)に MS Tech Camp #16 学生によるLT大会!!を開催します。Microsoft に関するテーマであれば自由で、プログラミング関係以外にも例えば Office 関係や Windows の便利機能などであれば何でもOKです!
当日は Youtube ライブ配信にてお送りします。LT 枠もまだまだ募集中ですので、ぜひご参加ください~
Microsoft の学生コミュニティに興味がある学生さんへ
日本では約7名が活動している Microsoft Learn Student Ambassadors は、Microsoft 製品や技術を広める活動を行っています。興味がある方は下記リンクを覗いてみてください。応募方法や特典など、役立つ情報をまとめてみました!
学生の皆さまの参加をお待ちしております!